茨城県つくば市にある運動と食の健康総合施設【マンマビレッジ】を運営しています
健康に不安があるけど『時間がない』『続かない』『何をして良いか分からない』という方向けに
“一生涯体型や不調に悩まない習慣作り”をお伝えしている
ウェルネス習慣化トレーナーの川谷 響です。
いつの時代になっても、流行のトレーニングやダイエットメソッドというが出ては消えていきます。
食事で言えば〇〇だけダイエットや置き換えダイエットもそうだし、運動で言えばロングブレスダイエットなんかも一時期流行りましたね。
どの方法がいいとか悪いとかっていうのは、個人的にはないと思っていますが、こう言ったトレーニングやダイエットメソッドは人づてで伝わって、
気づいたらとんでもない過大評価をされてしまうことが多々あります。
その中でも最近有名なのが、タバタ式トレーニングと言われるものです。
聞いたことがない人も多いかもしれませんが、テレビで取り上げられて知っているという人もいると思います。
と言うのも、
『たった4分で1時間分運動しただけのダイエット効果が得られます!!』
大手のフィットネスクラブやテレビではこのタバタトレーニングを“究極のダイエットメソッド!”と謳っています。
自分もこれにはかなり惹かれました(笑)
そこで、川谷の大学の卒業論文ではタバタトレーニングを題材に実験を行ったくらいです。
ただし、タバタトレーニングに関する論文を調べたり、実際に被験者を用いて実験してみてわかったことがあります。
どうやら、タバタ式トレーニングのダイエット効果はあまりに誤解されまくっている!!ということがわかりました!
そもそも、タバタ式トレーニングの本当の効果はダイエットではありません!
さらにこの前の学会の際、実はこのタバタトレーニングの生みの親である田畑教授に実際にお会いして話を聞くことができました!
その時、田畑教授のお話を聞いても、タバタ式トレーニングがダイエットに効果的とはやっぱり言い難いと感じました。
今回は、誤解だらけのタバタトレーニングの真実について、自分の実体験と情報をもとにご紹介したいと思います。
音声版もあります!
タバタ式トレーニングとは?
まず、タバタ式トレーニングがどういうものかを簡単にご説明します。
タバタ式トレーニングとは、立命館大学の田畑泉教授が研究成果として発表して、海外で大ヒットしたトレーニングメソッドです。
ネットやメディアでは『tabata』とか『タバタプロトコル』とも言われています。
やり方として、20秒のほぼ全力運動(自転車こぎとかジャンプ)を10秒の休憩を挟んで6~8セット繰り返すというものです。
これはサッカーや格闘技のようなアスリートが、よくトレーニングとして行うインターバルトレーニングを応用しています。
持久走のように強度低めで長く走るのではなく、高い強度で短時間の休憩を挟んでガンガン行うのがタバタ式トレーニングの特徴です。
もともとはスピードスケートの日本ナショナルチームで行なっていたトレーニングを、タバタ教授が科学的に検証したのがきっかけだそうです。
その研究成果として出した論文が海外で爆発的にヒットしたのが始まりと言われています。
(参考:究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング)
タバタ式トレーニングで得られる本当の効果
では、このタバタトレーニングには一体どんな効果があるんでしょうか?
一言で言うと、短期間で驚異的に身体能力がアップします!
実際に田畑教授が出した論文をもとにご説明します。
爆発力と持久力が両方いっぺんにつけられる
ちょっと専門的な話になってしまいますが、人間の体力には無酸素性の体力と有酸素性の体力があります。
ウサインボルトや桐生選手のように、100mを全力ダッシュするような運動では、
酸素ではなく体の中にある糖質(グリコーゲン)をエネルギーとして使います。
思いっきりジャンプするときやパンチするときも同じです。
これを無酸素性の運動または爆発的な運動と呼びます。
反対に、マラソンやウォーキングのような運動は糖質も使いますが、
長い時間走るために空気中の酸素をエネルギーにするので有酸素性の運動です。
いわゆる有酸素運動ですね。
こうした体力は、アスリートをみてもらうとわかるように、どちらかに優れるともう片方は劣る傾向にあります。
例えば、マラソン選手は長く走るのは得意でも早くダッシュするのは苦手ですよね?
100mの選手が持久走が苦手なのも同じで、本来無酸素性の体力と有酸素性の体力というのは合い慣れない関係とされていました。
しかし!タバタトレーニングはその常識を覆したということで話題になったんです!
田畑教授が出した研究によれば、6週間のタバタトレーニングを行なったことで、
無酸素性と有酸素性の体力が両方とも有意に向上したことがわかっています。
しかも、20秒やって10秒の休憩を挟むというこの時間配分がミソなようで、他のインターバルトレーニングのやり方よりも
このタバタトレーニングのやり方が、一番両方の体力をアップさせる効果が高いということがわかったんです!
これは、どちらの体力も必要とされるサッカー選手やボクサーにとっては、目から鱗のトレーニングメゾットや!
ということで爆発的にヒットしました。
これらのことが、タバタトレーニングが有名になった経緯です。
タバタ式トレーニングのダイエット神話
このように、アスリートをはじめとしたスポーツの世界でヒットしたタバタトレーニングですが、
どういうわけか、タバタトレーニングは現在究極のダイエットメソッドとして広まってしまっております。
引用:THEBODYBUILDINGBLOGより
引用:Skinny Msより
こんな感じで、海外のメディアではタバタトレーニングを『FAT BURN』とか『FAT SCORCHING』という名称で取り上げています。
つまり、たった4分で体脂肪を効果的に燃焼してダイエットができますよ!という効果で謳っているわけです。
海外でタバタトレーニングがヒットしたのはもう少し前の話ですが、これが日本に逆輸入式で広まって、
今では日本でもタバタトレーニングがダイエットメソッドとして知られるようになったのだと思われます。
これには実際に田畑教授も『そんな効果を言った覚えはない!』とおっしゃられていましたが、
論文ではなくメディアによって世間ではダイエットメソッドとして知られてしまったのですから、なんとも言えない感情でしょう(笑)
実際に本当にタバタトレーニングで痩せたと豪語する人もちらほらいるようで、引くに引けない状況とも言えます。
しかしこれも、情報を鵜呑みにして本質を見失ってしまった典型とも言える誤解です!
実際の消費カロリーは100kcal以下!?
タバタ式トレーニングは、1回あたりが4分で終わるとても短時間のトレーニングです。
やり方の違いによって10分や20分やるものもありますが、基本的に強度が高めで短時間でやる運動では先ほども言ったように無酸素性の体力でまかなわれます。
つまり、糖質がエネルギーに使われているので、脂肪はほとんど使われません。
タバタ式トレーニングのダイエット神話が浮上してから、
様々な大学や研究機関がタバタトレーニング中の脂肪燃焼効果や消費カロリーを測定したようです。
しかしながら結果は、脂肪の燃焼は確かに促されるけど、消費されるカロリーはたかだか70~100kcalくらいということです。
要はおにぎり1個分、それを食べたらはいどっこいというわけです(笑)
しかも、田畑教授が論文で出したオリジナルのもので100kcal以下ということですが、これ、どれくらいきついかご存知でしょうか?
本場のタバタ式トレーニングは、全力疾走できる自転車(パワーマックスというアスリート用自転車)を使って、最大酸素摂取量の170%の強度で行います。
この強度はどれくらいかというと、2~3分続けたら疲労困憊でぶっ倒れる強度です(笑)
つまり、その強度の運動を4分続けるということは、もう疲労困憊で動けなくなることが前提でやるトレーニングなわけです。
川谷が大学の卒論研究として行った実験では、部活のメンバーと一緒にタバタ式トレーニングを週3回4週間やりました。
それはもう、思い出したくないくらい、きついなんてもんじゃなかったです(自分でやっておきながらw)。
人によってはリバースしちゃう人もいました(実験協力してくれたみんな本当にありがとう。。(笑))
巷でやられているタバタトレーニングは、これより長くやっていたとしてもそんなにへばってしまうような強度でやってはいないと思うので、
おそらく消費カロリーはもっと少ないと思います。
たった4分で1時間の運動効果は真っさらな誤解!
『でもじゃあ、たった4分で1時間の運動効果があるんじゃないの?』って疑問に思いますよね?
確かにこれはエビデンスとしても言われているんですが、これも解釈の仕方に誤解がありました。
この謳い文句の根拠になった論文では、
4分間のタバタトレーニングで、1時間の持久的なトレーニングをしたのに匹敵するだけの持久力がついたという内容が書いてありました。
つまり、たった4分で1時間分の運動効果というのは、1時間分のトレーニングと同じくらいの身体能力がつくということで、
運動1時間分のカロリーが消費できるということではないんです!
それをメディア的にうまく見せて、たった4分で1時間分のダイエット効果が期待できますよ!と言っているのだと考えられます。
運動1時間分の体力がつくのと、1時間分のカロリー消費が期待できるのは別物です。
こう言ったところが、メディアに踊らされてしまうと怖いところですね。。。
実際に聞いた!タバタ式トレーニングでダイエットできた人の根拠
このように、タバタ式トレーニングはダイエット神話としてなんとも誤解が誤解を呼んでいますが、
海外では実際に『私はtabataで痩せたわよ!』という人がいるそうなんです。
これは実際どうなんでしょうか?と学会でお会いした際に田畑教授に伺ったところ、『あー、なるほど!』と思いました。
その根拠というのは、
タバタ式トレーニングをやると、あまりのきつさに食欲が落ちる
ということです(笑)
先ほども言ったように、本場のタバタトレーニングは4分でぶっ倒れるくらいのきつい強度で行うインターバルトレーニングです。
それだけ過酷なトレーニングをしたら、否応でも食欲がなくなって食べる量が減るので、
それによって痩せるんじゃないかというのが田畑教授から聞いた根拠の仮説です。
つまり、
結局は食事なんですよ!!
どんだけきつい運動をしようがしまいが、食事をコントロールできさえすれば人は痩せます。
タバタトレーニングのダイエット神話には、そういうカラクリがあったということがわかって非常にスッキリしました(笑)
まとめ
以上のことをまとめますと、
タバタ式トレーニングは爆発力と持久力を同時に上げられる画期的なトレーニングであるが、
運動としてのダイエットの効果はあまり(というかほとんど)見込めない。
痩せるためにはきつい運動をするよりも食事をコントロールすることが大切。
今後もこう言ったダイエット情報やトレーニング情報は出続けると思います。
こうした中で大切になるのは、正しい情報を手に入れるアンテナをはり、正しい情報を見極める目を養うことだと思います。
それでもタバタ式トレーニングで痩せたいんだ!という方はぜひやってみてもいいでしょう。
このトレーニングってどうなの?最近流行りのこのメソッドってどうなの?
という疑問があれば是非ご質問お待ちしております!!
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〜こんな方にオススメ〜
・若い頃は運動もしていてダイエットとは無縁だったのに、今になって痩せなくなった
・ダイエットは自己流で何度もやったけどリバウンドの繰り返し。
・どんなトレーニングをすればいいか、効果が出ているか分からず結局続かなかった
・いくつになっても趣味・旅行・お洒落等お好きな事を存分に楽しみたい!
・子供や孫、家族・大切な人との時間を元気に若々しく過ごしたい!
参考文献
[amazonjs asin=”4594072968″ locale=”JP” title=”究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング”]・Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max
・Cardiovascular and Metabolic Demads of the Kettlebell Swing using Tabata Interval versus a Traditional Resistance Protocol
そりゃインタバルで、痩せませんよね。世の中のタバタは、腹筋だったりジャンプ立ったりと手抜きができます。だから「食欲もなくならないんじゃないでしょうか」
一番いいのはスピンバイクで、タイムを測ったらいいんです。20秒だと短いから、500m走でやります。40秒歩いてまた500m、それを5回繰り返します。実業団ロードチームのスピード練習式です。なおフライングタイムトライアル500m男子世界記録は25秒、女子は30秒、アタシのスピンバイク500mは35秒(還暦脂肪デブとしたら結構いい線いくでしょ)
最初の20秒くらいは750W位は出せますが、終わりの方は550wくらいになります。5回目は400Wも苦しい。終わったらその場で倒れちゃいます。
gkrsnamaさん
コメント有難うございます!
そうですね。インターバルトレーニングで脂肪の燃焼効率が高まるというエビデンスはいくつかありますが、だとしても一般の人がダイエット効果を望むには、かなりの強度の運動が必要になりますね。。。
自分も大学の卒論の実験では本格的なタバタプロトコルをやりましたが、4~5セット目で足がパンパンになって回せなくなりました。
終わって立った時の膝カックンを受けたように崩れた感覚は忘れられません(笑)
インターバルトレーニングにダイエット効果がほとんどないなんて結論は統計を取らないとわからないと思います。あなたはどの程度の統計でエビデンスを確立させているのですか?タバタ式を1年間行った人間と、していない人間を100人ほど観測する必要があります。インターバルトレーニングで痩せたエビデンスはたくさんの検証で確立されていますが、それに反論するためのデータを提示しなければなりません。
tt様
コメントいただき誠にありがとうございます。
tt様のおっしゃることに私としましても相違はございません。タバタ式以外にもインターバルトレーニングによって脂肪燃焼が促進するエビデンスは私も先行研究を数百調べて把握しております。私がこのブログの論点で前提としていますのは、『インターバルトレーニングの中でもタバタ式トレーニングによるダイエット効果がフィットネス市場でもてはやされていること』『タバタ式トレーニングのエビデンス上証明されている本当の効果はダイエット効果ではなく、無酸素性機能と有酸素性機能の双方が短期間で向上すること』であることを踏まえた上で、タバタ式トレーニングが本来エビデンス上どういうものなのか?なぜダイエットメソッドとしてもてはやされているのか?その真意はどうなのか?についてあくまで個人的な推論を述べているに過ぎません。大変貴重なご意見ありがとうございました!
HIITのによる直接的なダイエット効果は微量という結論ですが、HIIT後に起きるといわれているEPOCによる脂肪燃焼についてはまた別の話でしょうか?それともEPOCについてもそれほどでもないという感じなのでしょうか?
コメントありがとうございます!
おっしゃる通り今回の記事の中ではEPOCの話を抜きにして論じさせていただいております。EPOCについては方法によって脂肪燃焼効率は変わってくると思いますが、長期的な継続での体重・体脂肪率の変化は見込めるかもしれませんが、やはり食事のコントロールができていない統制だと一般の方が思うほどの(例えば2ヶ月で3~5kgなど)減量効果は見込にくいかと考えています。